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相続税が払えないとき|申告期限(10か月)から逆算する選択肢・家を売って納める(取得費加算は申告期限の翌日以後3年)・延納・物納・借入れ・延滞税
相続税の納付の期限は、申告と同じ「死亡を知った日の翌日から10か月」です。延納や物納の申請も、同じ申告書の提出期限までに出します。遺産が家ばかりで現金が足りないときは、この期限から逆算して、預貯金の払戻し・家を売る・延納・物納・借入れのどれで足りない分を埋めるかを決めます。期限に遅れると延滞税がかかり、令和8年は年2.8%(納期限の翌日から2か月を経過する日まで)、その後は年9.1%です。
| 選択肢 | いつまでに | 向いている家 |
|---|---|---|
| 亡くなった方の預貯金を一部払い戻す | 遺産分割の前でも可。額に上限あり(金融機関ごと150万円まで) | 口座に残高があり、分割が終わっていない |
| 家を売って納める | 代金の受取りは申告期限まで | 住む人がいない、相続人の話がつく |
| 延納(年払い) | 申請は申告期限まで。担保が要る | 住み続ける、年払いなら払える |
| 物納 | 申請は申告期限まで。延納でも困難なとき | 延納でも払えず、物納できる不動産がある |
| 金融機関から借りる | 申告期限までに借りて納付 | 返済の見込みが立つ(条件は金融機関が決める) |
出典は国税庁 No.4205・4211・4214、相続税法27・33条、民法909条の2と法務省令(令和8年4月1日現在法令等。2026年10月3日取得)。
期限は10か月:納付も、延納・物納の申請も同じ日
相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に出します(相続税法27条1項)。期限内申告書を出した人は、その提出期限までに、申告した税額を納めます(同法33条)。国税庁も、納税は申告期限までに行うとしています(No.4205)。国税庁の例では、1月6日に死亡したときの期限は、その年の11月6日です。
延納と物納は、この期限までに税務署へ申請書などを出して許可を受ける必要があります(No.4205)。許可は申請すれば必ず出るものではなく、税務署長が要件を調べて決めます(相続税法38条・41条)。
遺産分割がまとまっていなくても、期限は延びません。分割が決まっていないときは、各相続人が民法の相続分で財産を取得したものとして計算し、申告と納税をします。その申告では、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えません(国税庁 No.4208)。分割がまとまるまでの考え方は遺産分割に期限はあるかにまとめています。
家しか財産がないとき、どの順番で考えるか
順番は、読者の家の事情で変わります。次の問いを上から順に当てはめると、選択肢が絞れます。
- その家に住み続ける人、または手放したくない人がいますか。いるなら、売らずに納める方法として延納を先に確かめます。土地や、保険を付けた建物は、延納の担保に出せます(国税庁 No.4211)。延納の条件と利子税は別のページにあります。
- 住む人がいないなら、売る方向で、申告期限までに代金が入るかを見ます。相続人が複数いて、誰が取るかが決まっていない家は、売る前に分け方を決める必要があります。換価分割は売って代金を分ける方法、代償分割は1人が家を取って他の相続人にお金を払う方法です。
- 期限に間に合うか分からないときは、延納の申請も申告期限までに出せるかを並べて確かめます。申請期限が申告期限と同じだからです(No.4211)。
- 延納でも払えないときは、物納です。物納は、延納によっても金銭で納めることが困難なときに限られます(相続税法41条、No.4214)。物納できる財産と順位は別のページにあります。
どの場合も、申告そのものは期限内に出します。申告をしなかったときや、実際より少ない額で申告したときは、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかることがあります(No.4205)。
家を売って納める:取得費加算の期限と、売る前の確認
取得費加算は、申告期限の翌日以後3年
相続した家を売ると、売った利益に所得税・住民税がかかります。相続税を払った人が、決まった期間内に売ったときは、かかった相続税のうち売った財産に対応する分を取得費に加算でき、売った利益が小さくなります。租税特別措置法39条1項は、この期間を、相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までと定めています。国税庁は、要件を次の3つとしています(No.3267)。
- 相続や遺贈により財産を取得した人であること。
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
- 相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
申告期限は死亡を知った日の翌日から10か月なので、亡くなった日から数えると、およそ3年10か月が目安です。ただし、日付の数え方の細かい点は税務署で確かめてください。国税庁の例(1月6日に死亡)では、申告期限は11月6日です。この3年は、納税の期限ではなく、特例を使える期間です。納税の期限に間に合わせるための売却は、申告期限までに代金を受け取ることを目標にします。
特例の適用には、確定申告が必要です(No.3267)。加算額の試算は取得費加算の特例の計算、売る時期の期限(3,000万円特別控除との選択を含む)は相続した家を売るタイミング、土地を売ったときの税金の流れは相続した土地を売ったときの税金にあります。
売る前に確認すること
- 誰の名義で売るか:相続人が複数いるとき、売る前の名義と分け方は換価分割のページに整理しています。
- 売る手順:査定・売り方の選び方は相続不動産の売却の流れにあります。
- 期限があることを最初に伝える:申告期限を過ぎると延滞税がかかるため、買取や仲介の窓口には、期限の日付を先に伝えて、間に合うかを確かめます。
買い取ってもらう場合の例として、空き家・中古不動産の買取会社ラクウルの公式サイト(2026年10月3日取得)には、「査定は無料」、自社買取のため「仲介手数料などの諸費用がかからず、スピード感のある買取・現金化」、現金化は「最短即日で現金化可能です。別途ご相談ください」、「相続前でも相談できますか?」に「はい、問題ありません」とあります。買取額の目安や、相続税の申告期限に合わせられるかは公式サイトに載っていないので、申し込むときに期限の日付を伝えて確かめてください。
預貯金の払戻し・延納・物納・借入れ
亡くなった方の預貯金を一部払い戻す
遺産分割の前でも、各相続人は、預貯金のうち相続開始時の残高の3分の1に、自分の法定相続分を掛けた額まで、単独で払い戻せます。額には上限があり、法務省令で定める額は150万円で、預貯金の債務者(金融機関)ごとに適用されます(民法909条の2、法務省令)。たとえば残高600万円の口座で法定相続分が2分の1の人は、600万円×1/3×1/2=100万円です。相続税の全額には足りないことが多く、窓口は各金融機関です。
延納
担保を出して、年払いで納める制度です。申請は申告期限までで、利子税がかかります。令和8年の利子税の特例割合は年0.2%から1.0%です(国税庁 No.4211、区分によります)。条件と表は相続税の延納とはにあります。
物納
延納によっても金銭で納められないときに、不動産などの財産そのもので納める制度です(相続税法41条)。物納に出せない財産や順位は相続税の物納とはで説明しています。
金融機関から借りる
このページで確かめた相続税法と国税庁の案内には、納税のための借入れを定めた記載はありません。貸すかどうか、利率、担保は金融機関との契約で決まるため、利率の目安は載せていません。国税庁の案内には、クレジットカードでの納付もあり、納付できるのは1,000万円未満かつカードの決済可能額以下で、納付額に応じた決済手数料がかかります(No.4205)。借りたお金で納めたときの借入金は、相続税の債務控除の対象とは書かれていません(相続税法13条1項が挙げるのは、被相続人の債務と葬式費用)。
代償分割で他の相続人に払うお金が足りないときの売る選択肢は、代償分割とはのページにあります。
期限に遅れたとき:延滞税の割合
期限内に申告しても、納期限までに完納しないと、納期限の翌日から納付する日まで延滞税がかかります(国税通則法60条)。本則は年14.6%で、納期限までの期間と、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年7.3%です(同条2項)。ただし、令和3年1月1日以後は、市中の金利が低い年は、特例で割合が下がります(租税特別措置法94条1項)。国税庁が示す割合は、次のとおりです(No.9205)。
| 期間 | 本則 | 令和8年 |
|---|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年7.3% | 年2.8% |
| 2か月を経過した日以後 | 年14.6% | 年9.1% |
出典:国税庁 No.9205、国税通則法60条2項。令和8年1月1日から12月31日までの期間の割合です。2026年10月3日取得。
日数ごとの試算は相続税の延滞税の計算、申告後に財産が見つかったときの修正申告は相続税の修正申告と更正の請求で説明しています。
よくある質問
相続税は、いつまでに払いますか?
申告と同じで、被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項・33条、国税庁 No.4205)。国税庁の例では、1月6日に死亡した場合はその年の11月6日が期限で、土曜日・日曜日・祝日などに当たるときはその翌日が期限とみなされます。
遺産が家だけで、納める現金がないときはどうしますか?
国税は金銭で一度に納めるのが原則ですが、相続税には延納(担保を出して年払い)と物納(財産そのもので納める)があります(国税庁 No.4205)。このほか、家を売って代金で納める方法があります。延納・物納の申請は、申告書の提出期限までに税務署へ出して許可を受ける必要があります。
払えないまま放置するとどうなりますか?
納期限の翌日から納付するまで、延滞税がかかります(国税通則法60条)。令和8年は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、その後は年9.1%です(国税庁 No.9205)。申告をしなかった場合や、実際より少ない額で申告した場合は、加算税がかかることもあります(国税庁 No.4205)。
家を売って払うなら、いつまでに売ればよいですか?
納期限に間に合わせるなら、申告期限までに売却代金を受け取る必要があります。これとは別に、売ったときの所得税には取得費加算の特例があり、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ったときに使えます(租税特別措置法39条1項、国税庁 No.3267)。この3年は、納税の期限ではなく、特例を使える期間です。
延納や物納は、申告期限を過ぎてからでも申請できますか?
国税庁は、延納・物納を希望する場合は、申告書の提出期限までに税務署へ申請書などを出して許可を受ける必要があるとしています(No.4205)。延納の申請期限は、期限内申告なら申告期限で、期限後申告や修正申告のときは申告書を出す日、更正や決定のときは通知が発せられた日の翌日から1か月を経過する日です(No.4211)。個別の事情は税務署に確かめてください。
銀行などから借りて払ってもよいですか?借入れは相続税から引けますか?
国税庁の案内(No.4205)に、納税のための借入れを定めた記載は見当たりません。貸すかどうか、利率や担保は金融機関との契約で決まります。相続税の債務控除は、被相続人の債務で相続開始の際現に存するものと葬式費用が対象です(相続税法13条1項)。納税のために相続人があとから借りるお金は、この文言には当たりません。
参考・出典
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
- 国税庁 No.4211 相続税の延納
- 国税庁 No.4214 相続税の物納
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 国税庁 No.9205 延滞税について
- e-Gov法令検索 相続税法(第13条・第27条・第33条・第38条・第41条)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法(第39条・第94条)
- e-Gov法令検索 国税通則法(第60条)
- e-Gov法令検索 民法(第909条の2)
- e-Gov法令検索 民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令
- ラクウル 空き家・中古不動産の買取 公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の納税方法の判断は、税務署または税理士にご確認ください。