PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)
兄弟が相続人になる相続放棄|親や子が放棄すると兄弟姉妹に回る・甥姪は代襲するか・知らないうちに相続人になったとき・必要書類(戸籍が多くなる)・費用・兄弟の1人だけ放棄
亡くなった人に子も父母(祖父母)もいないとき、兄弟姉妹が相続人になります。子が全員、続いて直系尊属が全員放棄したときも、同じです。兄弟姉妹の相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述します。おい・めいに回るのは、兄弟姉妹が亡くなっているときだけで、兄弟姉妹が放棄してもその子には回りません。戸籍は、子や父母が申述するときより多くなります。下の表に、申述する人の順位ごとにまとめました。
| 場面 | どうなる | 根拠 |
|---|---|---|
| 子も直系尊属もいない | 兄弟姉妹が相続人になる。配偶者は常に相続人で、兄弟姉妹と同順位 | 民法889条・890条 |
| 子が全員放棄し、直系尊属も全員放棄した | 兄弟姉妹が相続人になる | 民法889条1項2号、939条 |
| 兄弟姉妹が亡くなっている | その子(おい・めい)が代襲して相続人になる | 民法889条2項・887条2項 |
| 兄弟姉妹が放棄した | その子には回らない(放棄は代襲の原因に入っていない) | 民法887条2項・889条2項 |
| 兄弟姉妹が申述する | 収入印紙800円(申述人1人につき)。戸籍は出生から死亡までが必要になる | 裁判所 |
| 兄弟の1人だけ放棄した | その人を除いた同順位の相続人で、数え直す | 民法939条・900条 |
民法(令和8年6月24日施行分まで反映)。2026年10月3日、e-Gov法令検索と裁判所のサイトで取得。
自分はどの場合か
- 亡くなった人に子も親もいない、または先順位が全員放棄した:節2にあります。兄弟姉妹が相続人になる順番と、増える戸籍の表です。
- ある日突然、相続人になったと知らされた:節3にあります。3か月をいつから数えるかの、裁判所の案内です。
- 兄弟全員で放棄したい:節4にあります。まとめて申述できるか、戸籍と収入印紙がいくらかかるかです。
- 自分だけ放棄したい、ほかの兄弟はどうなるか:節5にあります。
- 兄(弟)に家を引き取ってもらいたい、または家を売りたい:節6にあります。
- 放棄の手続きそのものを知りたい:相続放棄は自分でできるのページに、流れと申述書の書き方があります。費用は相続放棄の費用のページ、借金が理由の場合は親の借金と相続放棄のページにあります。
放棄が兄弟姉妹まで回るしくみ(順位と必要書類)
民法889条1項は、子(887条)により相続人となる者がいないときは、直系尊属(親等の近い者が先)、その次に兄弟姉妹の順に相続人になると定めています。配偶者は、これらの者と同順位で常に相続人です(890条)。相続放棄をした人は、その相続に関しては初めから相続人にならなかったものとみなされるため(939条)、先順位の人が全員放棄すると、次の順位の人に移ります。
| 申述する人 | その人たちが全員放棄すると、次に相続人になる人 | 申述に必要な戸籍(共通のほかに増えるもの) |
|---|---|---|
| 配偶者 | 同順位の他の相続人(子、直系尊属、兄弟姉妹)で数え直す | 被相続人の死亡の記載のある戸籍 |
| 子(孫・ひ孫) | 直系尊属。いなければ兄弟姉妹 | 被相続人の死亡の記載のある戸籍。代襲者なら、本来の相続人の死亡の記載のある戸籍も |
| 父母・祖父母 | 兄弟姉妹 | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍。死亡している子とその代襲者の出生から死亡までの戸籍。死亡している下の代の直系尊属の死亡の記載のある戸籍 |
| 兄弟姉妹(おい・めい) | 配偶者がいれば配偶者のみ。いなければ相続人がいない状態になる | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍。死亡している子とその代襲者の出生から死亡までの戸籍。直系尊属の死亡の記載のある戸籍。おい・めいなら、本来の相続人の死亡の記載のある戸籍も |
民法・裁判所「相続の放棄の申述」(2026年10月3日取得)。共通の書類は、被相続人の住民票除票または戸籍附票と、申述人の戸籍謄本です。父母・祖父母と兄弟姉妹は、先順位の相続人などから提出済みの書類は添付不要です。相続人が全員いなくなったときは、民法951条・952条で清算人が選ばれます。
注意する点が2つあります。
- おい・めいは、兄弟姉妹が放棄しても繰り上がりません。代襲するのは、兄弟姉妹が相続の開始以前に亡くなっていたとき、欠格や廃除で相続権を失ったときです(民法887条2項、889条2項で準用)。放棄は入っていません。
- おい・めいの子への代襲は、条文に書かれていません。889条2項が準用しているのは887条2項だけで、代襲者がさらに亡くなった場合の3項は準用していません。
兄弟姉妹が受け取る割合は法定相続分の早見表にあります。
知らないうちに相続人になったとき
子や親が放棄すると、自分が相続人になったことを、亡くなった人とは疎遠な兄弟姉妹が突然知らされることがあります。3か月をいつから数えるかについて、裁判所のQ&Aは次のように説明しています。
| 場面 | 裁判所の案内から読めること | 根拠 |
|---|---|---|
| 亡くなったことと、自分が相続人になったことを知った | その時から3か月以内に申述する | 裁判所のQ&A、民法915条 |
| 先順位の人の放棄で、自分が相続人になった | 文言は「これにより自己が法律上相続人となった事実を知った時」。放棄を知った時がこれに当たるかは、案内に書かれていない | 裁判所のQ&A |
| 3か月のうちに何もしなかった | 単純承認をしたとみなされる | 民法921条2号 |
裁判所「裁判手続Q&A(家事)」(2026年10月3日取得)。
- 次の順位の人に、誰がいつ知らせるかを定めた条文は見つかりませんでした。連絡が来ていなくても、自分が相続人になっていることがあります。
- 3か月で決められないとき:相続財産の状況を調査してもなお、承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合は、期間の伸長の申立てにより、家庭裁判所が期間を伸ばせます(裁判所)。申立ての費用と期限は、親の借金と相続放棄のページにあります。
- 起点の判断は家庭裁判所がします。3か月を過ぎたから無理とも、事情があれば通るとも、このページでは言えません。専門家に相談してください。
兄弟まとめて申述できるか・戸籍と費用
申述するのは相続人の一人ひとりです(未成年者・成年被後見人は法定代理人が代理)。裁判所の案内から読めることを並べます。
| 項目 | 裁判所の案内 | 兄弟が複数のとき |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 800円分(申述人1人につき) | 3人なら2,400円分(手計算) |
| 連絡用の郵便切手 | 申述先の裁判所ごとに異なる | 裁判所のサイトで確認する |
| 同じ書類 | 1通で足りる | 被相続人の戸籍は、兄弟で1通ずつそろえなくてよい |
| 先に出た事件の書類 | 先行する放棄の事件で提出済みのものは不要 | 先に申述した兄弟の分は、あとの人は不要 |
| 入手できない戸籍 | 申述後に追加で提出してもよい | 期限が近いときは、先に申述する |
裁判所「相続の放棄の申述」(2026年10月3日取得)。連名で1通の申述書にできるかは、案内に書かれていません。
- 兄弟姉妹の戸籍が多くなる:子が申述するときは、被相続人の死亡の記載のある戸籍が中心です。父母・祖父母や兄弟姉妹が申述するときは、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が加わります。そう定められている理由は、案内に書かれていません。
- 法定相続情報一覧図の写し:戸籍等に代えて提出できる場合があります。使えるかどうかは、申述する家庭裁判所に確認します。取り方は法定相続情報一覧図のページにあります。
- 専門家に頼むときの費用:司法書士や弁護士の報酬は、このページでは取り上げていません。相続放棄の費用のページにあります。
兄弟の1人だけ放棄したとき
放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされるため(民法939条)、同順位の残りの相続人で数え直します。同順位の相続人が数人いるときの相続分は、等しいのが原則です(900条4号)。
| 場面 | 1人が放棄すると | 根拠 |
|---|---|---|
| 配偶者と兄弟3人が相続人 | 配偶者と、残る兄弟2人で数え直す | 民法939条・900条3号・4号 |
| 配偶者がいない。兄弟3人が相続人 | 残る兄弟2人が、等しい割合で相続人になる | 民法939条・900条4号 |
| 父母の一方だけが同じ兄弟がいる | その兄弟の相続分は、父母の双方が同じ兄弟の2分の1 | 民法900条4号ただし書 |
| 放棄した兄弟に子(おい・めい)がいる | その子には回らない | 民法887条2項・889条2項 |
民法(2026年10月3日、e-Gov法令検索で取得)。
- ほかの兄弟が放棄するかどうかは、それぞれの判断です。それぞれが、自分が知った時から3か月以内に決めます。
- 放棄は家も借金も一切受け継がない選び方です。裁判所は、相続放棄を、被相続人の権利や義務を一切受け継がないものと説明しています。家だけを放棄して預金は受け取る、という選び方は、案内に書かれていません。
- 放棄したあとの家の管理:放棄をしても、現に占有している間は保存義務があります。相続放棄したら管理義務はどうなるかのページにあります。
家を引き取る兄弟がいるとき・売るとき
裁判所のQ&Aには、亡くなった父の遺産をすべて兄に相続してもらいたいので私は相続の放棄をしたい、という質問があります。回答は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続放棄の申述をする必要がある、というものです。
| 兄弟の立場 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 家を引き取らない兄弟 | 3か月以内に、家庭裁判所へ放棄を申述する。兄弟の話し合いだけでは放棄にならない | 民法915条・938条、裁判所 |
| 家を引き取る兄弟 | 放棄しない。同順位の他の相続人が全員放棄すれば、配偶者がいなければ単独の相続人になる。放棄しない兄弟がほかにいるときは、その人たちと分ける | 民法939条・900条4号 |
| 家を売る兄弟 | 売る前に、放棄するかを決める。売ると、単純承認とみなされる可能性がある | 民法921条1号・920条 |
民法・裁判所の案内(2026年10月3日取得)。
- 放棄しない兄弟が複数のとき:家を1人が引き取り、ほかの兄弟にお金を払う方法は代償分割のページにあります。
- 売ると決めたとき:売る前に、売った場合の金額だけ査定で聞いておく方法があります。売った代金を兄弟でどう分けるかは、遺産分割協議書のページにあります。
- 家がいらない場合の選び方全体:相続した家がいらないときのページに、売る・寄付・国庫帰属の表があります。
よくある質問
兄弟姉妹が相続人になるのは、どんなときですか?
亡くなった人に子(子が亡くなっているときはその子)がいないときは直系尊属(父母、いなければ祖父母)が、直系尊属もいないときは兄弟姉妹が相続人になります(民法887条・889条)。配偶者は常に相続人で、子・直系尊属・兄弟姉妹がいるときは、その者と同順位になります(民法890条)。子が全員、続いて直系尊属が全員放棄した場合も、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が亡くなっているとき、その子(おい・めい)に回りますか?
兄弟姉妹が相続の開始以前に亡くなっていたとき、その子が代襲して相続人になります(民法889条2項・887条2項)。一方、兄弟姉妹が放棄したときは、その子には回りません。民法887条2項が代襲の原因としているのは、相続の開始以前の死亡、欠格、廃除で、放棄は入っていないためです。兄弟姉妹の子の、さらにその子への代襲は、889条2項が準用しているのが887条2項だけなので、条文上は書かれていません。
兄弟姉妹が全員放棄すると、どうなりますか?
配偶者がいるときは、配偶者が相続人のままです(民法890条)。配偶者もほかの相続人もいなくなったときは、相続財産は法人になり、家庭裁判所が利害関係人または検察官の請求で清算人を選びます(民法951条・952条)。
亡くなったことも、自分が相続人になったことも知らなかったとき、3か月はいつから数えますか?
裁判所のQ&Aは、相続放棄の申述は、被相続人が亡くなったことと、これにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から3か月以内に行うとしています。先順位の人の放棄を知った時がこれに当たるかは、案内に書かれていません。3か月のうちに限定承認も放棄もしないと、単純承認をしたとみなされます(民法921条2号)。
兄弟でまとめて相続放棄の申述ができますか?
申述人は相続人で、収入印紙800円分は申述人1人につきかかります(裁判所)。兄弟が3人で全員が申述するなら、収入印紙は2,400円分です(手計算)。標準的な添付書類のうち同じ書類は1通で足り、同じ被相続人について先行している放棄の事件で提出済みのものは不要とされています。1通の申述書に連名で書けるかは、裁判所の案内に書かれていません。
兄弟の1人だけが放棄すると、ほかの兄弟はどうなりますか?
放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。同順位の相続人は、放棄した人を除いて数え直し、各自の相続分は等しくなります(民法900条4号)。ただし、父母の一方のみが同じ兄弟姉妹の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の2分の1です(同号ただし書)。ほかの兄弟が放棄をするかどうかは、それぞれが3か月以内に決めます。
兄にすべて相続してもらいたいとき、私はどうすればよいですか?
裁判所のQ&Aは、亡くなった父の遺産をすべて兄に相続してもらいたいので相続の放棄をしたい、という質問に、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に相続放棄の申述をする必要がある、と答えています。放棄は家庭裁判所への申述で行い(民法938条)、兄弟の話し合いで「取らない」と決めただけでは、放棄になりません。
戸籍が多くて集めきれないときは、どうなりますか?
裁判所の案内は、申述前に入手できない戸籍等があるときは、申述後に追加で提出することでも差し支えないとしています。先順位の相続人などから提出済みのものは添付不要です。戸籍等に代えて法定相続情報一覧図の写しを提出できる場合があり、使えるかどうかは申述する家庭裁判所に確認するよう案内されています。
放棄をせず、兄弟で相続した家を売ってもよいですか?
相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号)。家を売ることは処分に当たると考えられます。単純承認をすると無限に被相続人の権利義務を承継するため(民法920条)、放棄を選ぶ可能性が少しでもあるなら、売る前に決めてください。
参考・出典
- 裁判所 相続の放棄の申述
- 裁判所 裁判手続Q&A(家事)
- e-Gov法令検索 民法(第887条・第889条・第890条・第900条・第915条・第920条・第921条・第938条・第939条・第951条・第952条)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続放棄の可否や期限は、家庭裁判所、弁護士、司法書士などの専門家にご相談ください。